戸山公園・箱根山
2020/01/01
当然の祟り
この記事の文責は全て私・別府にある。
今回取り上げる戸山公園にある箱根山(山といっても標高44mの小高い丘)は都内において超がつくメジャー心霊スポットである。
ここでの怪奇現象は私が個人的に聞いた限りでは『人魂を見た』『呻き声が聞こえた』『白い女を見た』といったものだ。
怪異自体はさほど強烈なものではない。
ただこの地の怪異の特殊性はその浸透度だろう。
――あそこだったら、心霊体験が起きても不思議ではない。
いわゆるオカルトマニアではなくても、そう認識されているスポットだ。
なんせ戸山公園のwikipediaにすら記載されているのだ。
東京在住でこのサイトの訪問者であろう方なら、一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
奥多摩の旧吹上トンネル、東京駅近くの平将門首塚、新宿区の箱根山――。
多数の体験者を生み出す原因はハッキリしている。
それは心霊スポットと呼ばれるにはまっとうすぎる理由だ。
「ここで殺人事件があったらしい」、「女の子が自殺したという噂がある」、「交通事故がやけに起きる」等といった、そういった類の心霊スポットとは一線を画する。
1989年7月22日、箱根山がある戸山公園一帯で多数の人骨が発掘されたのだ。
まともとは呼べない形状の人骨が見つかったのだ。
以下発掘された人骨の一例を載せる。
●ドリルによる穿孔跡のある頭部の人骨
●鋸断された脳頭蓋
●生前に受傷したものである可能性が高い切傷
骨が発掘された戸山公園一帯には1945年まで陸軍軍医学校が建っていた(その後は空き地)。
例えどんなオカルト否定者であろうとこの事実は否定できない。
発掘された人骨はどういったもの? まともではない人骨とはどんなものだろう?
曖昧なものいいは避けるために以下『軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会』のサイトから引用させてもらう。
2、個体数は前頭骨だけで六二体、全体ではおそらく百体以上
3、四分の一は女性で、未成年者も含む
4、モンゴロイド系の異質な人種が混在、一般日本人集団の無作為標本ではない
5、ドリルによる穿孔、鋸断、破切など人為的加工の痕跡
6、切創、刺創、銃創の痕跡
7、四肢骨の多くはいろいろな位置で意味不明の鋸断跡
要約すれば軍医学校跡地から、子供や女性を含むアジア人百体以上の、歪に傷つけられた人骨が見つかったということだ。
では人骨はどこから来たのか?
骨は自然から生まれない。
誰かが死んだ結果骨があるのだ。
数々の証言から導きだされる一つの説として、
上記の人骨は悪名高い731部隊の被害者である可能性が高い。
詳細は省くが731部隊は中国満州に拠点を置き、その地でスパイ容疑者として拘束した朝鮮人や中国人・モンゴル人等で非道としか呼べない生体実験を行っていた。
人間は水だけで何日生きていられるか? 性病に罹った男女を性交させればどうなるか? 凍傷を負わせた人間は治せるのだろうか? 等々……。
(なお731部隊に関しては捏造を訴える人間もいる。興味のある方は検索して頂きたいが、投稿者・別府は人体実験があったものと考えている。また戸山公園一帯に建っていた日本軍医学校がそれに関与するものと考えている)
話を進める。
証言は下記のようなものだ。(ともに『軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会 (著):国に問われる責任』より引用及び要約)
軍陣衛生学教室の教官をしていた上田篤次郎は医師会誌に「戸山人骨発掘問題」という記事を投稿している。
防疫研究室に勤務していた近藤定義は具体的な証言を残している。
同様に防疫研究室勤務の、斉藤陽は先輩から人体実験用の人体や実験済死体を「マルタ」と呼ぶことや、それがハルビンから送られたきていることを聞かされていた一人だ。「あれは『マルタ』が入っている」と先輩に注意されたと話している。
現代の科学では掘り出された人骨から正確な個人情報は割り出せない。
ゆえに中国の犠牲者遺族(731部隊に送られてしまったことは資料で判明している)が骨の引渡しを求めても、調査を求めても、日本政府は沈黙するしかない。
――想像もできないような苦しみの中、狂った日本軍に殺されたアジア人。
死後も葬られることなくゴミのように捨てられた被害者達。
化けて出てくる場所も、生前知らぬ土地。
哀れとしか言いようがない。
祟りが恨みから起きるのであれば、心霊現象が怨みから起きるのであれば、この土地で起きない方がおかしいと私は思う。
× × × × × ×
前置きが長くなってしまったが、そんな心霊スポット、箱根山に行ってきた。
正直言って上記のイワレを知る前に行っておけば良かったと思った。怖かった。
時刻は0時前後、夜でも騒がしい新大久保駅から徒歩で二十分ほど歩く、明治通りを越えると空気が突如変化する。
それまでの騒がしさと落差のある陰鬱な空気だった。
●戸山公園入り口(箱根山地区方面より)
●真夜中ということもあり公園は人気がない。
遠くからしのび嗤いのような声が聞こえた。
●不気味な雰囲気の中、街路灯が姿無きものを照らし出すことを期待しているのか怯えているのかわからなくなってくる。
●箱根山登山口より短い登山を始める。
●日本キリスト教団戸山教会
ここには陸軍戸山学校時代、将校集会所が建てられていた。
今は集会所を再利用し、地上部分に教会が建っている。
●箱根山麓にはベンチが並ぶ
●登山といっても階段を昇るだけである。
●階段を昇りきってから見下ろす。
●山頂には標識が。
サービスセンターの営業中にいけば登頂証明が発行される。
●一服の後に下山。
●陸軍戸山学校跡碑
●幽霊の目撃譚の多い便所。
近年、首吊り自殺があったと噂される。
●便所内部。薄気味悪い。
●最後にぐるりと一周をしたが、怪異の遭遇はなかった。
探索者より
恥ずかしながら調べて初めて知ったのだが、ここのイワレは政治的にセンシティブな問題を孕んでいた。
この戸山公園と関連性がある「731部隊」は肯定派/否定派がくっきり分かれているのだ。厄介というか、ある意味このオカルトサイトにうってつけの題材ともいえるのだが……。
否定派には右寄りのフィルターがかかり、肯定派には「カッコたる証拠がない」というつっこみどころがある。
ただこれははっきりしておきたいのだが、極端に言ってしまえば私はどちらでも良いのだ。
右も左もどうでもいい。ネトウヨもパヨクも保守も革命家も底辺のウサ晴らしも偽善者の戯言だろうとどうでもいい。私はその都度おっかない方を選ぶだけである。
ただネットの意見で見た、
「日本人がこんなことするわけない」
この意見には首を傾げざるえない。
宿ってしまう類の狂気は人種を選ばない、と私は思う。
もし心霊現象を、哀れな幽霊を目の当たりにした時、私はどうするのだろう?
戸山公園を深夜徘徊している間、その疑問は頭を占めていた。
手をあわせたのか、恐怖にただ固まるばかりなのか、それとも日本人として謝罪をしたか?
わからずじまいで探索を終え、当然今でもわからない。
きっと実際に目にするまでわからない。だから私はこんな因業なスポットを訪れるのだと思う。
軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会 (著)
[国に問われる責任―つぐないか、救いか]
常石敬一著 [骨は告発する -佐倉鑑定を読む-]
常石敬一著 [七三一部隊 生物兵器犯罪の真実]
軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9073/
南京事件-日中戦争 小さな資料集
http://www.geocities.co.jp/yu77799/