ホテルトロピカル‐血まみれの部屋
2020/01/01
心霊スポット巡礼ツアーで紹介、謎の廃ホテル
2015年7月に神奈川県のタクシー会社「三和交通」が開催し、当初から大きな話題を呼んだ『心霊スポット巡礼ツアー』。
心霊特番等で毎年よく取り上げられ、もうすっかり夏の風物詩として定着してきた。ご存知の方も多いことだろう。
それぞれのスポットにまつわるイワレを乗務員が紹介してくれるとあって、一体どんな話が伺えるのか大変気になる所だが、大人気の為チケットは即日完売、私は当然のことながら毎年行けず悔しい思いをしていた。
ツアーで訪れるスポットはその都度違いがありどれも興味深い。
個人的に気になっていたのが、第一回ツアーで案内していた[3]の廃墟ホテルだった。写真はモザイクで隠されている。
(三和交通よりキャプ)
横浜のホテル廃墟の心霊スポットなんて聞いたことがない、隠されていれば尚更きになってしまうのがオカルトヲタクの性だ。
週刊アサヒ芸能(2015年 7/30号)にホテルのイワレが記されている。窓に霊の姿があったとの目撃談が広まり、心霊スポットとして知られるようになったようだ。
試しに「新横浜 ホテル」と検索をかければ問題のホテルはすんなり特定できた。
営業していた頃のWebページがまだ残っていたのだ。
(楽天トラベルよりキャプ)
「ビジネスホテル トロピカル」。場所は横浜港北ジャンクションのすぐそば。
記事中の「新横浜駅から車で10分程度、交通量が多い道路沿い」と符合する。
さらに検索を続けると、全国の心霊スポットを調査している唐木野 孝史氏のツイートにてこんなフレーズを発見する。
(唐木野 孝史氏のTwitterよりキャプ、自身で調査した1000件以上の心霊スポットがアーカイブ化されている、この膨大なデータには敬服するばかりである)
…「三階の奥にある『血だらけの部屋』が特に危険」。
ますます興味が湧いてくる。殺人事件の血痕の名残か、果たしてそんな部屋が本当に存在するのだろうか。
現場は廃墟であるためいずれは取り壊されてしまう。
おっかなくて全く行きたくはないが、自分の目で確かめられないのも後悔するという葛藤がある。仕事に追われる中、頭の片隅で常に気がかりだった。
そんな折、東京に所用ができた私は、この件をふと思い出しついでに行ってみようと思いたったのだ。新横浜駅前の格安ビジネスホテルを予約し準備は完璧である。
2017年8月8日AM1:00 新横浜へ
あいにく当日は台風5号が上陸し暴風雨だった。台風が来ようともこの機会は無駄にできない。
新横浜駅に到着し、雨風からカメラを守りつつ目的地まで歩いた。
●駅から幹線道路を30分ほど歩いて、横浜港北ジャンクションまで到着。心霊スポットがあるとは思えない綺麗な夜景が広がっている。風は強いが奇跡的にも雨はやんだ。
●その一方、ジャンクションの影に隠れるように巨大廃墟はたたずんでいた。不規則に開いた窓、真っ暗で中は全くうかがえない。よく注視すれば霊の姿が見えそうな…そんな不気味さに満ちている。目撃談が広まるのはうなずける。完全にお化け屋敷だ。
ホテル内に潜入
●避難経路図をトレースして内部の簡単な見取り図を描いた。2~5階まで客室は5つ。他には用途不明な空き室が2つあった。ビジネスホテルとあって自販機ルームもしくは洗濯室だったのかもしれない。1階は残念ながら撮影に失敗してしまったが、駐車場とロビー跡が残るのみだった。
●「トロピカル」から想起する熱帯らしさは既に感じないが、南国風の絵画が立てかけられていた。
●写真左上:浴槽
●写真右上:トイレ
●写真右下:壊されたバスルームの壁
●写真左下:ひび割れた鏡
基本的には同様の客室が続くのみで、各フロアの光景は代わり映えしない。
●薄気味悪い廊下、懐中電灯で照らせばそこら中ラクガキだらけだ。強風が吹きこむ影響で客室のドアは不気味に開閉を繰り返す。また、物が頻繁に落ち「カーン…」と音がフロア内を反響していく。
●中を覗くと電話機が、着信音が鳴るのだけは勘弁してほしい。
●開いている部屋をざっくり見ながら、屋上まで到達。
屋上まできたが、どうも「血まみれの部屋」が見つからない。
3階奥の部屋にはなにもなかった、どこか見落としているのか?
そこで、念のためホテル内を再度探してみることにした。
●この廃墟は建物外周の非常階段を昇り降りしなければならない、非常に危険な物件だ。特に足元が見えない夜は探索すべきではない。
●「血まみれの部屋」を探すため、閉ざされたドアは全て開けながら各階をまわった。
すると…4階奥にて目的の部屋を発見した――。
4F「血まみれの部屋」
●ドアを開けた瞬間、ホラー映画のような光景が目に飛び込んでくる。噂通りの血だらけだ。私は廊下でしばらく立ちつくした。
●床一面に血液が広がるイメージだったのだが、想像とはるかに違っていた。「真っ赤な手形」で壁が覆いつくされている。
●そこら中見渡してもまっ赤な異様空間。天井まで及んだ手形は狂気しか感じない。あまりの怖さに直視できず、ファインダーを覗くことに集中してとにかく無心で写真を撮り続けた。
…廃墟から無事脱出後、はりつめていた心から一気に解放され大きく深呼吸をした。
帰路につきながら思う。なんでこんなバカみたいなことやってるんだろうと。
探索者より
「血まみれの部屋」は確かにありました。過去に殺人事件があった話と関連は不明ですが、どう見てもイタズラ。
この手形の量は一人による犯行では難しいと思う。多人数で悪ノリなアクションペインティングをしていたのでしょうか?
一つ言えるのは、スリリングな体験ができるという点では、その手の人たちにとってアングラな人気観光地に発展するのは間違いないということ。
私はもう二度と行きたくありませんが…。
雨風でぐしょ濡れ、また探索中陥没した床に足をとられ、痛みで真っ暗な廃墟内でしばらく座り込んだり。強風の影響でドアが「ドタン!バタン!」と、ポルターガイスト現象が頻発。こんなひどい目に遭うのはもうたくさん。
いい歳こいて馬鹿だと思う本当に。
それなら行かなければいいと思うかもしれない。けれども結局行ってしまうのは、やはり好きだからなのかなって思う。
単純に幽霊が見てみたい、不思議な体験がしてみたいというのが原動力。再三申し上げてるとおり馬鹿らしいと思うし、馬鹿と思われてもかまわない。どんなに嘲笑われても大いに結構。
なんというか不思議な世界に足を踏み入れている感じが魅力。昔から信じている霊ってものに接近できたかもと嬉しくなる。つまり救いようないほど頭イカレてるってことです。
ただし、同じような馬鹿に一応忠告するけど、こんな所いくのはやめたほうがいい。
ヒントは幹線道路沿いってこと、建物外周の非常階段を昇り降りするってこと、意味がわかると怖い話。
三和交通(タクシーで行く 心霊スポット巡礼ツアー)
https://www.sanwakoutsu.co.jp/special/vol_001.html
週刊アサヒ芸能 2015年 7/30号
https://www.asagei.com/excerpt/40291
楽天トラベル(ビジネスホテル トロピカル)
https://hotel.travel.rakuten.co.jp/hinfo/?f_no=41693
唐木野 孝史氏Twitter(No.1068:ホテルトロピカル)
https://twitter.com/lepton0726/status/674733255497637888
※ツイートの掲載許可いただきありがとうございます。
